1000spring's blog

日々過ごす中で心に感じたことを・・

上橋菜穂子「鹿の王 水底の橋」を読み終えて

 

この本は、同作者の2015年本屋大賞を受賞した「鹿の王」のその先を書いた物語です。

 

2015年本屋大賞「鹿の王」の読後感はこちら ↓

 

 

s-1000spring.hatenablog.com

 

 

とても楽しみにしていた続編の「鹿の王 水底の橋」

すぐに読みたかったのですが、図書館で貸出中でした。一昨日出かけた際に検索したら貸出可能だったので、すかさず借りてきました。

 

そして一気に読み終わりました!

面白かったです!

 

「鹿の王 水底の橋」での主人公は

オタワル人の天才医術師ホッサルとその助手ミラルです。

前作の内容を知らなくても楽しめます。

 

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物語は、ホッサルとミラルが清心教の祭司医である真那と一緒に真那の故郷に行くところから始まります。

 

清心教の祭司医とオタワル人の医術師

主義による二つの医術の治療概念の違い

政治と医療の関係

病とは?命とは?

 

人の生死に関して医術でできることは何か?

とても深くて重いテーマです。

 

異なる医術の中に入り違いを学ぶこと。

自分の医術を極めていくこと。

ホッサルとミラルの行動から新しい未来が想像できます。

 

二つの医術は、タイトルの「水底の橋」という互いに対岸からは見えなくても、目に見えない川底の橋でつながっていることを暗示しているのではないでしょうか。

 

『なによりも大切にせねばならぬ人の命。その命を守る治療ができぬよう、政治という手が私を縛るのではあれば、私は政治と戦わねばなりません。』

 

ホッサルたちは気がつかない間に、次期皇帝争いにも巻き込まれていきます。

ホッサルの助手ミラルは、実はホッサルの恋人でもあるのです。

この2人はどうなるのでしょう?

 

一気に読める面白さ。

読んでみてください!

 

・・話は横道にそれるのですが、

文中で「足を洗うと蚊に刺されにくくなる」

とありました。

ミラルが水辺で薬の材料となる植物を採取している時です。

 

何年か前に、小学生か中学生の自由研究で

《足が汚れて臭い人は蚊に刺されやすい》

というのが家族の足の実験で検証されてました。

 

私は血液型O型の夫より蚊に刺されやすいので、この自由研究をテレビで知ってから、丁寧に足を洗うようになりました。σ(^_^;)

※ 蚊に刺されやすい人は、男性で血液型O型とも言われてます。それなのに一緒にいると私が蚊の餌食。よっぽど足が汚い?!

 

・・話を戻します。

 

この続編「鹿の王 水底の橋」の 主人公ですが、私はホッサルだったことに少々がっかりしました。作者のあとがきにも書かれていますが、ヴァンとユナのその後を書けばよいのにという声があったそうです。私もそう思いました。

 

なぜ、そうしなかったか。

 

作者は『身体の奥底からつきあげてくる衝動と共にやってくる何かで』しか物語がかけないと、『技術や思惑(おもわく)で作り上げられるものではないのです』と書いてます。

 

ですから、私が待ち望んでいるヴァンとユナのその後は、作者が『猛烈な熱が心に吹き上げてこない限り』発表はされないということですね。

 

でもその代わり、ヴァンとユナのその後を私なりに創造する時間をたっぷりもらえ楽しめると思って待つことにします。

 

今年の秋、2020年9月18日 映画公開されるというアニメ「鹿の王」

謎の病と人々への感染、命を救うために戦う医術師。

いま世界に広まりつつあるコロナウィルスにオーバーラップしそうな物語です。

映画も楽しみです。